パンプ・アップに弄ばれて
ワークアウト後の筋肉の張り、血管の隆起。
それは肉体的だけでなく、トレーニーの満足感をも
ダイレクトに膨張させてくれる。まさに快感。
かのアーノルド・シュワルツネッガーは
「パンプ・アップはセックスよりも気持ちいい」
と豪語したほどだ。
しかし、そのパンプ・アップの快感は手にしたと思うと、
するっと自分の体からすり抜けていく物寂しさも併せ持っている。
まさにファムファタール(魔性の女)なのである。
そんなパンプ・アップを追い求め続けることこそトレーニーの宿命・・・。
今回はそんなパンプ・アップについて書いていきたいと思います。
パンプ・アップとは?
かなり追い込んでトレーニングを頑張ったあと、
筋肉は空気が入ったようにパンパンになります。
これをパンプ・アップ(Pump up)といいます。
体脂肪の少ない方だったら、太い血管も浮き出てきたりもするでしょう。
よくトレーニーやトレーナーで、
「筋細胞が損傷してそこから血液がバンバン入ってきているんだよ。
だから、パンプ・アップは筋肉の充血だ。」
ということを言っている方がいます。
しかし、それは実は正しくありません。
パンプ・アップは筋肉の損傷とは別物であるし、
血液ではなく血液成分の中の血漿(水分)の流入によって起こっているからです。
このような誤りは、筋肉をはげしくパンプ・アップさせ、
その状態をなるべく長時間持続させるようなトレーニング法を
「充血法」
と言っていたことから来たのかもしれません。
これは科学的なエビデンスがあるわけではないのですが、
パンプ・アップの状態というのは、
「トレーニングを2ヶ月必死に頑張った後の筋肉の状態だ」
と言われています。
刹那ではありますが鏡に写った2ヶ月後の自分。
パンプ・アップは未来からのメッセージともいえるのです。
ではパンプ・アップはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?
パンプ・アップのメカニズム
簡単に言うと、パンプ・アップは細胞内への水分の流入によって起こります。
大きな筋力発揮を行うと解糖系の代謝産物として「乳酸」が、
エネルギー代謝産物として「アデノシン」が筋肉内に多量に蓄積してきます。
これらの蓄積によって筋肉内のイオンバランスが崩れ
pHが下がります(酸性に傾く)。
からだには体内の各組織の溶液濃度を一定に保とうとする働きがありますので、
筋細胞膜のイオンチャネルなどから周辺の水分が取り込まれ、
濃度を調整しようとします。
その結果、筋細胞は膨張します。
これがパンプ・アップの直接の原因になります。
【今日の一句】
パンパンに 膨れた顔は むくみだよ