第6回「1人でできるもん!」は、前回に引き続き最終回となります!1人でもしっかりと筋肉を追い込んでいけるトレーニング方法を紹介していきたいと思います。
5.反動を使う。
みなさんもご存知かと思いますが、反動を使うと、ゆっくりジワジワと動かすよりも大きな力を発揮でき、重い負荷を持ち上げることができます。それには2つ理由があります。
1つは、反動をつける時に、そのトレーニング種目のメインターゲットとなる筋肉ではない、大きく強い力を発揮できる筋肉を使うことによって負荷を持ち上げ、その慣性を利用してその動作を完遂させることができるからです。
もう1つは、一度ターゲットの筋肉を伸ばすことにより、筋肉だけでなくその両端の腱が引き伸ばされます。それによって筋腱複合体に「弾性エネルギー」が蓄積され、そこで切り返し筋肉を収縮すると弾性エネルギーが付加され大きな力を発揮することができるからです。
これを「伸張-短縮サイクル」、英語の「stretch-shortening cycle」の頭文字をとって「SSC」といいます。筋肉と腱を合わせてゴムのようなイメージを持つとわかりやすいです。ゴムは一度伸ばすと勢いよく縮みますよね。しゃがみ込んだ状態からジャンプするよりも、立った状態から、一度しゃがんでジャンプした方が高くジャンプできるのはこのためです。
これらの理由から、反動を使うと明らかにゆっくり持ち上げるよりも、持ち上げることのできる重量が増加するのです。逆に言うと、反動を使うと、ターゲットとなる筋肉以外の要素をたくさん使用するので、当然の事ながらターゲットとなる筋肉への刺激は小さくなってしまいます。しかし、まさにこれを利用して自らを追い込むのです。反動をつけることによってCON局面は上げてしまい、ECC局面をしっかり効かせていくのです。
ダンベルカールで説明してみましょう。
例えばダンベルカールの場合、回数を重ね、負荷が上がらなくなったら、反動を使って負荷を上げようとします。多くの人は股関節を屈曲させ、腕を伸ばし、勢いよく股関節を伸展させるとともに肘関節を屈曲させていきます。すると、上腕二頭筋よりも大きく力強い脊柱起立筋や僧帽筋によって生まれた「上方向への慣性」+「上腕屈筋群のSSC」の作用によって、いとも簡単にアームカールのCON局面は完遂されます。
あとはECC局面をゆっくりと反動を使わずに上腕屈筋群で下ろしていきます。この一連の動きを繰り返すことでより一層効かせることができます。
ダンベルカール
「そうはいっても、反動を使うのは良くないと聞いたことあるぞ。」と思った方も多いのではないでしょうか?確かに、筋力トレーニングの解説本には「反動を使うとケガの原因になるのでやめましょう。」とか「反動を使うと意図した筋肉への刺激が弱くなるのでやめましょう。」などと書かれています。
フィットネスジムのインストラクターにそういう旨のことを言われたことがある方も多いのではないでしょうか?
確かにケガのリスクはゼロではありません。しかし、これはどんなトレーニングをしようがケガのリスクはゼロではないので取り立てて警戒することもないと言えます。さらに、ここでいう「反動を使う」とは回数を刻んだ後の追い込みに使うので、セットの最初から高重量の負荷を反動を使って上げるのとは全然違います。ですので、関節や靭帯への負担は小さくなるのでケガのリスクはそれに比べ格段に小さくなります。
この方法は、ベンチプレスやスクワット、デッドリフトなどCONの局面で大きな筋肉が動員されるような種目では、それらの筋肉を上回り補助できるような筋肉がないので不向きです。
シュラッグ
今日の一句
反動を つけてもいいよ 思い切り