F(full)かP(partial)かそれが問題だ。
トレーニングのとき、
パーシャルで(可動域狭く)
できるだけ重い重量でやるか。
フルレンジで(可動域広く)
できるだけの重量をやるか。
それはトレーニーの方々にとって、
一度は迷う分かれ道ですよね?
どっちが効率よく筋肉を成長させることができるのでしょうか?
重いものを上げる方が気持ちいい、
かっこいいと可動域を狭くしてしまってはいませんか?
もう上がらないくらいにまで
オールアウトできれば効果は一緒なのでは?
実は、そうではありません。
トレーニングの基本は、
「フルコントラクション・フルエクステンション
(完全収縮・完全伸展)」
が基本です。
関節に痛みのない限りはそれが王道です。
なぜ扱える重要が違う?
そもそも、パーシャルだと(可動域が狭いと)なぜフルレンジよりも
高重量でトレーニングすることができるのでしょうか。
それは、関節には一番発揮トルクが大きくなる「至適角度」
というものがあるからです。
肘屈曲だったら、肘関節角度90-110°付近です。
これは肘関節が90-110°くらいの間が最も重いものを
動かせるということです。
全ての関節で、至適角度というものがあります。
多関節運動(ベンチプレス、チンニング、スクワットなど)の場合、
各関節の関節トルクの総和が最大の周辺が至適範囲となるのです。
さらに掘り下げてみましょう。
では、なぜ、至適角度がなるものがあるのでしょうか?
至適角度とは何からくるか?
至適角度はなにからくるのでしょう?
その答えは、サルコメアの長さにあります。
サルコメアとは筋肉の収縮の原点であり、
筋原線維の最少単位のことです。
サルコメアには至適長というものがあります。
それは収縮要素である、
アクチンとミオシンとが結合するクロスブリッジ数が
最も多い状態であり、それは、
すなわちもっとも筋力発揮ができる状態のものです。
ほとんどの関節で、至適角度と、サルコメアの至適長は一致します。
逆を言うと、至適角度から離れれば離れるほど、
コンセントリック収縮局面では発揮トルクは小さくなります。
(※エキセントリック局面では収縮要素以外の、
直列、弾性要素などの働きもあり、発揮トルクは伸張位であるほど大きい。)
至適角度から離れるということは、
至適長から離れることを意味するので、
サルコメア内のクロスブリッジ数が減っていき、
筋肉自体が発揮できるトルクも低下してしまうのです。
可動域が大きくなると同一負荷であっても、筋の収縮要素への負荷が大きくなります。負荷が大きいということは、筋肉により大きなストレスを与えることができます。
実際には?
例えば、スクワット。
フルスクワットとハーフスクワットの
1RM(MAX重量)が同じという人はいないはずです。
これは少しでも経験をした人ならわかるはずです。
腕立てもそうです。
肘をちょいっと曲げるだけ(パーシャル)よりも、
胸までつけるようにしっかり曲げた(フルレンジ)方がつらい
ということは容易に想像できますよね?
では、なぜフルレンジの方が筋肉の成長においていいのでしょうか?
どちらでもキツイ!というところまで追い込めれば一緒ではないのか。
それは少し違います。
フルレンジの利点
まずは、フルスクワットや胸がつくような深い腕立ての場合、
筋肉がより長く伸びたポジションで力を発揮します。
筋肉は伸張位でストレスを受けるほど
微細な損傷を引き起こしやすいです。(物理的刺激)
微細な筋損傷(≒筋肉痛)は、
筋肉を発達させる強力な因子の一つです。
フルレンジの利点はその他にもあります。
次に、筋肉の力が抜けている時間を短くできるということです。
トレーニングは、筋肉をなるべく長い時間緊張させることも重要です。「スロートレーニング」はゆっくり動かすことよりも、
力を入れっぱなしにすることが重要である。
と近畿大学の谷本道哉さんも著書なかでいっています。
筋肉の緊張時間が長いと、血管が圧迫されっぱなしになるので、
血流が阻害されて筋肉内の代謝環境が厳しい状態になるのです。
それがまた筋肉の発達を促すのです。(化学的刺激)
ハーフスクワットなどのパーシャルレンジだと、
動作域の端っこで関節トルクが最大になるぶん、
それ以外の動作域では「余力がある」状態になるので、
力が抜けてしまいやすいのです。
最後に「仕事量が大きくなる」という利点もあります。
仕事量は「力×距離」ですよね。
ただし関節の場合は回転運動ですので
「トルク(力)×角度(距離)」となります。
筋肉に対する代謝的、生化学的なストレスという意味では、
力やトルクよりも、仕事量の方が
要因になると言われています。(化学的刺激②)
そして多くの種目ではパーシャルレンジよりもフルレンジの方が
仕事量は大きくなります。
このようにフルレンジの利点はたくさんあるのです!
まとめますと、
1.筋損傷を引き起こしやすい (物理的刺激)
2.筋の緊張が抜けにくい (化学的刺激)
3.仕事量をふやせる (化学的刺激②)
物理的な刺激、化学的な刺激的にも筋肉の成長にはいい影響があるのです。
それでは、フルレンジで行えれば、プライオメトリック、バリスティックに反動を使ってもいいのでしょうか?
それも×です。
反動とはなにか?
そもそも反動とはなんでしょうか?
反動とは言うならば、
「その関節の至適角度からより大きく関節トルクが弱いところを、
他の筋肉や、腱や靭帯のゴム作用を使い、
その負荷を至適角度に持ってくること」
言い換えると
「サルコメア長が至適長からより大きく筋力発揮の弱いところを、
その他の筋肉や腱靭帯のゴム作用で、至適長に持ってくること」
ということになります。
アームカールで考えてみましょう。
アームカールで反動を使おうとすると、だいたい、ジャンプをするか、
上体を前傾から伸展させて、脚の力か、
脊柱起立筋の力を借りてダンベル(もしくはバーベル)に初動を与えて、肘関節屈曲伸展位での負荷を軽くし、
肘関節屈曲筋の至適角度にまでもっていくということです。
実際に肘関節屈曲筋が大きく力を発揮したのは至適角度を過ぎたあたりからの狭い範囲になるでしょう。
パーシャルレンジは使えない?
では、パーシャルレンジのトレーニングは使えないの?
そう思う方もいるかと思います。そうではありません。
以下にパーシャルのトレーニングの効果的な使い方を示します。
1.負荷設定の変えにくいものの導入に
懸垂や腕立てなど自分の体重を負荷とするときなど、
負荷を容易に変更できない場合、フルレンジでできないとき、
一番力発揮がしやすい範囲でトレーニングを行い、
できるようになってきたら次第にレンジを広げていきます。
懸垂でしたら、まずはぶら下がって肘を曲げた状態でキープ。
その次は、飛びついて5センチほど上下する。
そして10cm、20cm、フルレンジと次第に
肘を伸ばせるようにメニューを進化させていきましょう。
腕立てだったら、まずは肘を少しまげて、
頭が5センチくらい下りたら、肘を伸ばし起き上がります。
それが次第に、
10cm、20cmとだんだん曲げられるようになっていくのです。
懸垂、腕立てともに10回できるようになったら、
次のセッションから少し深くしていくくらいがいいでしょう。
最終的には(いつかは)肘を伸ばしきった懸垂が、
胸を地面につけるような腕立て伏せができるようになるはずです!
2.追い込みテクニックとして 「FP(Full to Partial)トレーニング」
またはフリーウェイト、マシンともに使えるのですが、
追い込みのテクニックとして、
同じ負荷重量でかつ、同一セット内で可動域を変える
という手法もあります。
パーシャルレップ法というものがありますが、
これは一般的にはセットの最初から最後まで同範囲で行うのですが、私が推奨するのは、
フルレンジからパーシャルに移行するやり方です。
追い込みとしてかなりおススメです。FP(Full to Partial)トレーニング。
例えばベンチプレス。
3-5セット目など後半のセットにおいて、
1-5レップ目までは胸につけるフルレンジで行い
(理想はもう次のレップは難しいかもというとこくらい)、
6-12回くらいは浅めのパーシャル追い込むのです。
ベンチプレスにしても、スクワットにしても、浅めということは、
ラックが近くにあるので、つぶれる可能性は小さくなるのです。
【今日の一句】
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