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油圧式のトレーニングマシンの問題点とは?

油圧式のトレーニングマシンは一石二鳥?

油圧式のトレーニングマシンとは、油圧によって負荷がかかるマシンのことで、
注射器(シリンダー)と同じような原理で、
速く押し出そうとすると大きな力が必要になり、
ゆっくり押し出そうとすれば小さな力で押せる

という特性を利用したものです。

油圧シリンダーの特性として、シリンダーが伸びる時と縮む時の
両方で負荷を得ることができる、
注射器で言うと押すときも引くときも負荷があることが挙げられます。
するとトレーニングマシンにすると、押すときと引くときで、
体の各部位の表と裏(拮抗部位)を1回の上げ下ろしで、
同時にトレーニングすることが可能です。
一度に2ヶ所の体の部位を鍛えることが出来るのです。
一石二鳥のトレーニングマシンとして、世界中にある、
30分フィットネスのマシンとして採用され、一大ブームになりました。

油圧式では一兎も得られない

しかし、この、一石二鳥な部位にこそ
油圧式のトレーニングマシンの欠点になるのです。
油圧式の特徴である、マシンのバーを
上げるときと下ろすときとで異なる筋肉を使うことで、
むしろ筋肉を成長させる刺激を大きくカットしてしまうのです。
一石二鳥どころか、二兎追わされて一兎も得られないのです。

筋肉を成長させる刺激には、機械的刺激(メカニカルストレス)と化学的刺激(ケミカルストレス)があります。この二つを簡単に説明します。

機械的刺激(メカニカルストレス)とは

機会的刺激とはメカニカルストレスともいい、筋肉が大きな張力発揮をすることにより、
筋線維に微細な損傷を引き起こすような刺激のことです。
さらには、筋肉が伸張しながら張力を発揮するエキセントリック収縮(ECC)など、
筋肉がある程度伸張位で大きな張力を発揮するときに得られる刺激もそうです。
ようはゆっくり、負荷を下ろすようなブレーキをかけるような動きのことです。
筋肉が微細な損傷を受け、その修復段階で筋肉が太く強くなるというメカニズムです。

油圧式のトレーニングマシンでは機械的刺激のほとんどがカット

微細な損傷を引き起こすような刺激がトリガーになるので、
ECCが機械的刺激を促すカギになります。
ECCは最も筋肉を大きくする刺激になると言われているのですが、
油圧式のトレーニングマシンには、下ろすときに別の筋肉を収縮させて
バーを動かすことになるので、耐えながら戻すエキセントリックな局面がないのです。
これでは機械的刺激はほとんど筋肉にはありません。

化学的刺激(ケミカルストレス)とは

化学的刺激とはケミカルストレスともいい、
筋内環境が主に、筋内酸素濃度の低下により劣悪になることにより
内分泌系(ホルモン分泌系)を刺激することによる筋肉の成長を促す刺激のことです。
負荷が小さくとも一定以上(最大筋力の30-40%程度)の張力を維持すると、
筋肉内の酸素濃度を低下させ、意図的に筋内環境を劣悪にした結果、
乳酸などの代謝物が蓄積します。その結果、代謝物受容反射という仕組みによって
下垂体から成長ホルモンが分泌されたり、筋線維周辺の成長因子の濃度が変化したりして、
筋線維の肥大が促されるというメカニズムです。

油圧式のトレーニングマシンではケミカルな刺激もカットされる

前述のように、油圧式のトレーニングマシンは、バーを上げるときと下げるときに、
別の筋肉が動くので、上げるときに使っていた筋肉は、
下げるときに休憩状態になってしまいます。
そうなると、筋肉内の血流は流れ、しっかり頑張っても、
筋肉内の代謝環境は悪くはなっていきません。
ということは筋肉を成長させる刺激も起き辛いのです。

油圧式のトレーニングマシンではやった気になる?

さらには、油圧式のトレーニングマシンの強度は、
前述のように、速度依存的に増大します。
速く押し出すには強い力を必要とし、
ゆっくり押し出すには弱い力でよいというものです。
ということは、どんなに筋肉に効果がないくらいの小さな力がなくても、
ゆーっくり上げればバーは動くのです。
実際に、指一本でもゆっくり動かせばバーを動かすことができます。
「10回3セットをすればいいんだ。」と、
10回3セットを客観的・現象的にバーを動かしたとしても、
実は生理学的な効果は全くなく、ただただトレーニングを
「やった気になる」ということにもなりかねないのです。

【今日の一句】
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