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徒然

星を知る 中竹竜二

こんにちは!
「研究」と「現場」のハイブリッドトレーナー
比嘉一雄(ひがかずお)です‼

今日は、尊敬する先輩である中竹竜二さんが書いた「星を知る」という。
詩?コラム?を紹介したいと思います。

$Dr.エンハンサー(比嘉一雄)の『えびすダイエットで賢くからだを変える!』

中竹竜二さんは、東筑高校のラグビー部の先輩であり、早稲田大学時代はラグビー部で主将を務め、
2006-2009年と早稲田ラグビー部の監督も務めた。
現在は日本ラグビーフットボール教会に属し、日本ラグビーの強化に努めています。
「監督に期待するな」や「リーダーシップとフォローワーシップ」など
組織をテーマとした著書もたくさんあります。

この詩は、私が高校の2年生の時に初めて読んだのですが、それ以来、何度も自分を支えてくれたものです。

        星を知る

                    早稲田大学ラグビー部主将
                      中竹竜二 ( 本校平成四年度卒)

小学1年、6才。大きなランドセルに連れられ始めて間もなく、
兄に手を引かれ遠賀川の土手でラグビーに出会い17年。
「今年で本当に最後だ。もう少しだけ頑張ってくれ。」
無理をし続けてきたこの身体に、毎日そう言ってグラウンドに足を入れる。

高校の時、両肩脱臼癖になり、右肩には、大学一年の時に手術でボルトを入れた。
腰にはヘルニア、分離症、スベリ症と病名は何でも付けられるほどで、
首には同じくヘルニア、両膝関節内側靭帯損傷、両足首捻挫持ちで、テーピングとサポーターがなければ試合には出られない。
手の指10本中、半分以上の指にテーピングをしなければ、これまたラグビーができない。
上前歯の3本は自分のものではなく、右眼は去年の5月に眼窩底骨折のため手術した。今も複視である。

中鶴少年ラグビーに始まり、ジュニア、東筑高校、福大に寄り道して、現在早稲田大学ラグビー部の主将として、日本一への路を歩んでいる。
誰もが驚いた主将就任。
その日まで、ぎりぎりのところで頑張ってきたこの身体に、どうして自分ばかりこんなけがをするのかと何度恨んだことか。恐くてグラウンドに立つことさえ怯えた日も多かった。
プレーヤーを辞めてトレーナーになろうと決心したこともある。

しかし今は、親から授かったこの身体、奇跡ともいえる確率で巡り会った遺伝子の結合の産物たる偉大さに感謝し切れないほどである。

上京し、数日後、此の世のものとは思えない練習、いやそれは、理不尽の何物でもでもなかった。
土を食った腕立て2000回、尻から血が出た腹筋2000回、延々と続くラン。
人間は1分30秒あれば、死ぬことができると実感した。
タイムトライアルであるため、1度でも手をぬけば、その場で即切られていく入部希望者。
明日は我が身かもと、腹筋で血だらけになった短パンを履きかえ、震える手でどうにか握ったハンドルでの自転車の行き帰り。
今では理不尽の科学も存在することに納得し、「甘やかされた兵隊はなあ、全滅するんだよ」と言った先輩の悟りとも言える言葉に感動している。2週間後の入部式には涙がこぼれ、部員になれた喜びにみんな抱き合った。

人は感動した数だけ幸せになれるならば、ラグビーはその宝石かもしれない。
磨けば磨くほど輝く。
骨折しながらでも、ボールを追いかける姿、突き刺さるタックル。
また、4軍、5軍にいながらにして、黙々と走る姿。
そんな4年生が試合の前夜、メンバーでもないのにもかかわらず、
部屋でスパイクを磨き、祈りを込める。

その何の打算もない姿に、男が男に泣ける何かを思う。

男が男に泣けるとき、お互いの人間という存在の偉大さを改めて感じる。
そんな男達に出会えたことに自分の星を感じるときがある。
しかし、その偉大なる人間は、いざ試合や受験といったときに、自分の力の半分も出せない愚かさも備えている。しかも、誰もがあらゆる後悔を背負っている。
あれをやればよかった、逆に、どうしてあんなことをやったのだろう、と。その襲いかかってくる後悔を奮い去ったとき人は大きくなるのだろう。

ラグビーには、試合前の涙がある。
今までの様々な犠牲を80分間の試合の中で全て帳消しにするために、感動に打ち震えるのである。
一軍に上がりたい、活躍したい、誉められたい、日本一になりたいだとかあらゆる欲が、グラウンドに行く度に消える。
日本一に向かうその過程の中で、自らの身を研ぎ、思いを高めていくにつれ、それらの、あえて言わば我欲は、どうでもよくなっていく。


失敗とは、成功の前にやめること。

失敗とは、自分の計画に全力を投入しないこと。

今思う。
自分に起こった現象は、けがも挫折も、全て必然、必要だったと。
そして心から感謝しています。

たくさんの人に出会え、たくさんの感動をもらい、そしてこれから、たくさんの感動を与えるべき立場にあることに、改めて、自分の星を知る。
人はそれぞれに役割をもって生まれてきた。

決して華やかなプレーはできません。
女の子の声援も少ないし、鈍足の僕には独走もできません。
華麗なキック、パスは到底無理。
しかし、前に転がったボールには一番に飛び込みます。
首がいたくても、肩がいたくても、タックルします。格好悪く遅いけど全力で走ります。
そして己を信じ、みんなを信じることの強さを知っています。
それに心動かされ、男に泣ける人が一人でもいれば、僕は、自分の星に心から感謝します。

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【今日の一句】
長いけど 読んでくれて ありがとう

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